続・『ソーシャル・ネットワーク』 商品知識とTENGA |
(感想2回目です。やっぱり、わりとネタバレ含みます。)
エドゥアルドです。彼を通じて、ビジネスにおける“商品知識”の大切さを学ぶことが出来ます。
『ソーシャル・ネットワーク』
2010年のアメリカ映画。デヴィッド・フィンチャー監督。
映画全体の感想の方は“こないだ書いたやつ”をご覧ください。
今回は、主人公マーク・ザッカーバーグの親友でもあり、『Facebook』の共同経営者でもあるエドゥアルド・サベリンについて。物語の冒頭、ザッカーバーグが企画した“ハーバード女ランキングサイト”に対し、即興でアルゴリズムを提供するなど、主人公同様に異才を見せつける彼。
本作は、そんな“天才”が物語の中盤からただの“凡人”になっていく過程を描いた作品でもあります。
ザッカーバーグが開発を進め、『Facebook』の会員数をどんどこ増やしていく中、エドゥアルドはニューヨーク中を走り回ってスポンサーを探しますが、結果はゼロ。そんな中、ショーン・パーカーに出し抜かれ、共同経営者としての地位も失ってしまいます。彼と、彼らを分けたのは何だったんでしょうか。
エドゥアルドには『Facebook』がなんだかわかってないんです。
ソレが分かる場面の一例。エドゥアルドに対し、ガールフレンドが嫉妬混じりに叩きつけた台詞。「アンタ!なんで『Facebook』の“交際ステータス”にチェック入れてねーんだよ!」と。最初、自分はザッカーバーグが嫌がらせでデータいじったんじゃないかと思ったのに。対する彼は「やり方がわからないんだ!」と。
必要最低限の“商品知識”がないのです。『Facebook』の経営担当者なのに。
他にも、『Facebook』で広告収入を得ようとするエドゥアルドに対し、「クールじゃない」と否定するザッカーバーグとショーン。にも関わらず、広告スポンサー探し続けるエドゥアルドは、おそらく「クールじゃない」の意味がわかっていません。「カジキを釣るのに、小魚を釣る必要はない」の意味もわかっていません。
『Facebook』が会員数を爆発的に増やし続ける中、将来的に得られる利益のことが予測できてないんです。
極めつけは、エドゥアルドがカリフォルニアにやってきたシーン。空港についてもザッカーバーグは迎えに来ず、ずぶ濡れになって会社にやってくるエドゥアルド。そもそも、なんでずぶ濡れだったんだろう。タクシーで来たんじゃないの?というつっこみはおいといて、その後の彼の主張とザッカーバーグとのやりとり。
「なんで迎えにこないんだよ!」 「俺はニューヨークで毎日必死こいて地下鉄乗って営業してんのに!!」 「雨ふってんのに!こんなに濡れて大変だったのに!!」
マーク「で、契約とれた?」
「~~~~~ッッッッ!」
何度も何度も「自分は大変だった!」と主張するエドゥアルドに対し、「成果でてないじゃん。」と一言で返すザッカーバーグ。世間的にはこのシーンを「相手の気持ちが汲めない、ザッカーバーグのアスペルガー気質を示すシーン」と見る人が多いようですが、個人的にはエドゥアルドの方が浮いているように思えてなりません。
エドゥアルドに経営や営業のスキルがないとか、ビジネスに対する情熱がないとは思いません。 彼に足りないのは、“商品への興味と知識”だけです。
どんなに営業のスキルがあったとしても、売ってる商品がなんだかわからない限りは、それを他人に勧めることなんてできません。(売るためのテンプレートが確立してる場合は別ですけどね。)そのことを知らない時点で、少なくとも商品をまともに触ってない時点で、彼には営業のスキルもねーよ!って話にもなるかもですけど。
スキルや情熱がないと、仕事はできません。 でも、商品への興味や知識がないと、仕事している意味がありません。
話とびますが、自分は仕事で採用面接とかもやったりするんですけど、「前の会社で関わってた商品(ゲームとかサービス)はどんぐらい遊んでました?」という質問を必ずします。「うちのゲームやってます?」だと質問の意図を見抜かれて「やってます!」って答えるでしょうし、そう答える準備は当然してきてるでしょうから。
意外と「ほとんどやってなかった。」って答える人が多いんですね。
ゲーム作ってる人間が、わりと自分の作ったゲームをやらないって話はよく聞きます。まぁ、やるに越したことはないのですが、仕事上企画からプログラムからデバッグまで携わってる人間に「それを家でもやれ」というのは酷な話ですし。他の売れてるゲームでもやるか、映画とか旅行とか違う趣味に費やした方が勉強になります。
ただ、それを営業する側、顧客対応する側の人間が、「ほとんどやってない」っていうのはありえない話。
これは、「好きなものを仕事にしろ」とか「するな」って話とは全く別次元の話で。自分が他人にソレを薦めることが仕事である以上、ソレに対する知識というものは、その客層の平均値以上のものをもっているべきです。その知識の獲得手段は、必ずしもその商品を利用することだけではないのですけれど。
『TENGA』の社長みたいに、自らオナニーオリンピックで優勝したりとか、その理想系だと思います。 (まぁ、あの人は本当にマスターベーションが大好きなんでしょうけど。)
話を戻しますが、この“商品知識”こそが、エドゥワルド最大の欠点であり、ザッカーバーグやショーンと一線を画してしまった部分なんじゃないのかなと思います。双子の方の欠点は、前にも書いたとおり“スピード”。ボートの試合でも負けるのがその点わかりやすく示してます。どっちも新興ビジネスほど重要なところです。
逆に、ショーンのことは個人的にあんまり悪いようには思えないんですよね。
ていうか、ゲーム会社の上の方にいるのって、あんな感じの人多いです。見栄っ張りで口達者で女好きでパーティ好きで。でも、実際にそういう人間が莫大な金を拾ってくるし、ザッカーバーグのような天才をホイホイ連れてきたりもする。実質、ちょっとネジがぶっとんだ人間がいるおかげで、プロジェクトが回ってたりします。
中にはほんとに何もしないで、“ギョーカイジン”とか“クリエイター”気取りの下衆野郎も多いですけどね。
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